インボイス制度の悪夢

ーーインボイス制度の法制化

 

去年の10月にインボイス制度が整い、すべての事業者が浮き足立ちました。

これまでは1000万以下の売上だった免税事業者が、このインボイスの発行・交付を受け、正式に課税事業者と同じ扱いをされることになったのです。

つまり今までと違い仕入れ税額控除が適用できなくなり、自分たちが懐に収めていた税金(俗っぽい言い方をすれば益税・預かり金)を国庫に負担する必要性が生じたのです。

 

国庫がそれで潤い、日本経済を上向かせることができるのならばインボイス制度にも利があると言えましょう。

しかし10月のインボイス制度施行により見込める税収はたったの2000億円。

国家予算の1割にも満たない数字です。

これで何がインボイス制度だ‼︎ 税負担ばかり押し付けて、零細やフリーランサーを圧迫させるつもりか‼︎という批判が後を断ちませんでした。

 

まあ、第三者から見ればこのお怒りの意見はごもっともです。

インボイス制度は税制を整え、不公正の是正に向けた法律として施行されましたが、それで不公正さが改善されたのかと言えば、それははっきりNOと言えるでしょう。

むしろ小規模の事務所や、家族経営でやっている事業者、フリーランスや零細企業、これから巣立つスタートアップ企業など、すべての事業者がその皺寄せを受け、クワンクワン悲鳴をあげています。

特に声優などアニメーター仕事に関わる人は自分の報酬を任意で決められないため、消費税を報酬に自腹で加算する必要があり、声優仕事を辞める人が増えるなど多くの人が苦境に立たされています。

 

むしろ収入の格差は広がり、不公正さをより助長した悪法といえましょう。

 

ーーインボイス直撃の仕事は避けるべき!?

 

しかし感情論になってはいけません。

法律として制定された以上、決定事項なのでそれが覆ることは滅多にありません。

デモやストライキなど反対の意思表示も虚しいだけです。

強制力はないのだから。

よって、今後は自分がメインとする仕事の方針について真剣に考える必要があります。

 

10月のインボイス制度により、個人事業主(免税事業者)はさらなる税負担に苦しめられるでしょう。

その税負担を緩和するため、政府は本則課税とは別に2割特例、簡易課税といった経過措置を設けました。

2割特例が適用されるとその期限に納める消費税額は大幅に抑えることができます。

 

その間、何をすべきか。

あなたの取引先は今回のインボイス制度により、仕入れ税額控除が認められなくなりました。

その際、取引先はインボイス(適格請求書)を発行している事業者と取引するようになり、免税事業者とは一切取り合わないケースも視野に入れておくべきでしょう。

つまり、取引先が免税事業者とは取り合わない。

なら、触媒にあたる取引先をそもそも排し、個人(フリー)でできる将来性の高い仕事を探すのです。

 

今の仕事が好きでやっているのなら、それでもある程度の妥協は覚悟するべきでしょうが、無理にやっているならいっそのこと個人で仕事をリクルートするのも1つの手です。

私は現在、ホワイトハッカーというプログラミング言語などITに関わる仕事に憧れを持ち、初心者ながらもITの勉学に励んでおりますが、やはりここでも取引先との接触は不可避。

もし大手の企業にランサムウェアなど危険なウイルスの除去を依頼され、報酬として受けとるのならば、やはり免税事業者という立場は歯がゆいものがあります。

少なくとも良い目では見られないでしょう。

むしろ冷ややかな視線を浴びせられる。

そのために課税事業者に乗り換え、取引先とうまく価格設定していくわけですが、免税に落ち着いているとお呼びがかかりにくい、といったケースも十分想定されますので、私としては少し痛手な法律なんですね、このインボイス制度は。

 

まあ、それはどの職種にも言えることなので、ITに限らず、インボイス制度と向き合い、うまく対応していくしか方法はないんですけどね。

とにかく自分に合うぴったりな仕事、とりわけインボイスの影響が最小限にとどまる程度の仕事に落ち着けば、税負担の悪夢からは逃れることができるでしょう。

 

しかしこのインボイスに加え、これ以上税率を引き上げたりしたら、さすがに堪忍袋の緒がブチ切れるでしょうね。(笑)